:::【観戦記事】 決勝:中野 達仁(Booksながしま) vs. 難波 直也(コミかる堂高崎店)
By Yohei Tomizawa


 長い長い一日もいよいよ大詰め、最後の一戦が始まろうとしている。

 PPTQ突破の常連である中野は、大味ながらも確実に勝てるカード《副陽の接近/Approach of the Second Sun(AKH)》を選択し、ここまで来た。自身が得意とするデッキを理解しており、デッキもそれに応える。決勝における二人の親和性はどうだろうか。

 難波も同じくPPTQ突破の常連ではあるが、先日のプロツアー『イクサランの相克』に見事出場を果たし、初出場で2日目まで勝ち進んだ。本日も決勝まで進み、プロツアー出場がフロッグではないことを証明できたのではないか。
 デッキは盟友浅海 大貴と共に作成した赤単タッチ黒のアグロデッキ。準々決勝ではその浅海を倒し、準決勝ではプロツアーでは先輩格にあたる大木 樹彦を倒してきた。

 副陽とアグロ、真反対のデッキ同士。どちらが目指すべき先にゴールにたどり着き、優勝の二文字を掴みとるか。


:ゲーム1

 難波の《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand(RIX)》から軽快にゲームはスタートするが、その後は中野のカウンターに完全にシャットアウトされる。

 《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》、《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》、《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix(RIX)》、1枚も着地を許さない。

 やっとのことで追加したのは2枚目の《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix(RIX)》。

 そのエンドに《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KLD)》をキャストすると、中野は全ての準備を終える。

 《副陽の接近/Approach of the Second Sun(AKH)》

 中野はライフを18とすると、《副陽の接近/Approach of the Second Sun(AKH)》を7番目に置く。

 難波は7ターン以内に勝つ必要がある。《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》場に戻し8点与え、中野のライフ10とする。

 アンタップ、アップキープ、ドロー。

 中野特有の叩きつけるように1枚のカードをプレイする。

 7ターン待つこともなく、陽は、また昇る。

難波 0-1 中野


:ゲーム2

 「勝ってる赤単使いは1ターン目《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》が走る。」

 ゲーム1では《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand(RIX)》だったが、今回難波が召喚するのは《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》。この難波、ノリノリである。

 《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》を追加すると、2ターン目にして早くも4点。

 中野は中盤まで見据え、《削剥/Abrade(HOU)》で《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》を除去する。

 難波は4枚目の土地を引かない。

 代わりに《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》を2連続で召喚し、1枚目こそ《本質の散乱/Essence Scatter(AKH)》されるが、2枚目は着地し、《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》と一緒に3点クロック。

 そして必殺の《強迫/Duress(XLN)》。4マナフルオープンと中野が《残骸の漂着/Settle the Wreckage(XLN)》を構えているであろうこのタイミングで。

 中野はスタックして《排斥/Cast Out(AKH)》を《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》へ。

 中野の手札は2枚の土地と2枚の《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KLD)》。

 続くドローも土地ではなく、《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》が攻撃するのみ。

 2ターン遅れで引いた4枚目の土地をセットすると《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》をキャスト。ここにレスポンスはなく、すぐさまライブラリーを公開し、中野のライフは7へ。

 中野は《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KLD)》から《マグマのしぶき/Magma Spray(AKH)》。クリーチャーこそ除去するが、《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》への解決策が見つからない。

 悪いことに土地も6枚で止まってしまう。後1枚で《副陽の接近/Approach of the Second Sun(AKH)》に届くというのに!

 難波は《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》と《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand(RIX)》で3点与え4。

 やっと7枚目の土地を引くが、《感動的な眺望所/Inspiring Vantage(KLD)》と噛み合わない。
 それでも《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand(RIX)》を《削剥/Abrade(HOU)》し、ギリギリ踏みとどまる。

 アンタップすると《副陽の接近/Approach of the Second Sun(AKH)》でライフは10まで回復する。間に合ったか。

 いや、間に合ってない。

 難波は溜めに溜めた欲望を《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》へと注ぎ込む。忠誠値を全てを代償に、奥義発動!

 カード2枚でぴったり10点。

難波 1-1 中野


:ゲーム3

 再び《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》が走る。

 不死身の《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》も追加するが、《削剥/Abrade(HOU)》、《マグマのしぶき/Magma Spray(AKH)》と綺麗に除去される。

 難波のクリーチャーは尽きない。《狂信的扇動者/Fanatical Firebrand(RIX)》と《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》で3点のクロックを形成。
 中野の4枚目の土地がタップインだったこともあり、2度に渡り3点のダメージを与える。追加するのは《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix(RIX)》。

 中野は5枚全ての土地をアンタップで返す。《残骸の漂着/Settle the Wreckage(XLN)》を構えているのだ。

 さてどう殴るものか、とう思っていると難波は迷わず全てのクリーチャーをレッドゾーンへ。

 中野は前述の通り《残骸の漂着/Settle the Wreckage(XLN)》をキャストするが、このカウンターが打てない隙に《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》が通ってしまう。

 《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》は能力で中野のライフは10まで落ち込む。

 難波は《強迫/Duress(XLN)》。

 中野は、《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KLD)》を墓地に置きつつ《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》を公開する。

 《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》が《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KLD)》をプレイすると、難波唯一のダメージソースである《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》へ《排斥/Cast Out(AKH)》。
 難波は《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix(RIX)》をトップデッキ。
 厄介な飛行クリーチャーに対処するため中野は再び《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KLD)》をキャストするが、解決策はない。7枚目の土地をタップインするとターンを返す。

 《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix(RIX)》で攻撃し、《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》を追加する。後1ターン。

 中野は8枚目の土地を置くと《副陽の接近/Approach of the Second Sun(AKH)》でライフを13。
 難波に手札はなく、地上には《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》が睨みを利かせる。

 中野がコントロールするアンタップ状態の土地は1枚。生殺与奪の権は難波が握っている。だから難波は許可を求めない。

 難波のトップデッキは《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》、打つが早いか全てのクリーチャーをレッドゾーンへ送り、《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》にマナを注ぎ込むと中野のライフは1。

 難波のエンドに中野は土地をタップすると、《検閲/Censor(AKH)》をサイクリングする。

 7番目に送ったカードは必要ない。6枚の中に2枚目の《副陽の接近/Approach of the Second Sun(AKH)》がある可能性は0ではないし、《残骸の漂着/Settle the Wreckage(XLN)》や《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》でもいい。生き延びる術は無数にある。

 アンタップ、アップキープ、ドロー。

 難波特有のクリーチャーを斜め45°にあげながらクルクルと回すようにレッドゾーンに送り出す。

 《残骸の漂着/Settle the Wreckage(XLN)》、単発除去、《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》

 難波は数種類ある対抗策を漏らさず、最適なアタックを敢行する。

 中野の手から差し出されたのは、状況を変えうる一手ではなく、難波を祝福する右手だった。

難波 2-1 中野

 第1回戦で見た難波は、プロツアーに参加しただけの一人のプレイヤーに見えた。

 しかし全10回戦というタフな一日を戦う中で、疲労とは反比例に、難波のプレイは冴え渡った。

 一日を通して、彼のプレイを見るたびに、実感させてくれた。

 そして勝ち続け、優勝することで証明してみせた。

 難波自身が、プロであると。

難波 直也、『GUNMA CHAMPION SHIPS 2018 winter』優勝おめでとう!

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