Round6 カミヤマ マサル vs 林 隆智
終に予選ラウンドも最終戦となった。勝者のみがトップ8へと滑り込めるこの2人の対戦をお送りしたい。
◆カミヤマ マサル
普段は群馬県桐生市に位置する“わんぱっく桐生店”でマジックに興じているというカミヤマ。彼は、唐突に、こう呟いた。
「本当なら、ジャンド、使いたかったんですよね」
ここで勝てば決勝ラウンドへと進める場面で、カミヤマの発した一言は、実に妙なものだった。
白と赤の違いはあれど、ジャンクデックの代表格アブザンジャンクを使用し、ここまで勝ち残ってきているのに、だ。
何が、彼を、ジャンドへと駆り立てるのか。
「モダンは、攻める側も受ける側も適切に、迅速にしなければいけないので。《稲妻/Lightning Bolt(M10)》と《流刑への道/Path to Exile》では、同じ1マナでもやはり使い勝手が全然違います。そしてその土台となるマナベースも。手札破壊スペルも考慮してアブザン側が白黒必要なところで、ジャンド側は赤黒、そう《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs》というノーダメージのアンタップインランドがあるんですよ。アグロなマッチアップでダメージを食らわない2色土地は非常に魅力的ですね。後は新しく入った《コラガンの命令/Kolaghan’s Command(DTK)》ですね。親和への勝率の向上、消耗戦にも強くなるので、カードさえあればジャンドが理想ですね」
そう言うと、静かにデックをシャッフルしだす。
◆林 隆智
埼玉、東京、神奈川、静岡、北海道(←New!)の一都道三県からなる広域コミュニティー『White House』で、週末に集まり腕を磨いている。
The Last Sun2014チャンピオンであり、初プロツアーへ向けて群馬まで遠征してきている。
Game1
カミヤマの《思考囲い/Thoughtseize(THS)》がマリガンの林の手札を襲う。唯一のクリーチャー《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(M14)》を落とされると、土地ばかりの手札となってしまう。
対照的にカミヤマは、《復活の声/Voice of Resurgence》、《未練ある魂/Lingering Souls》と展開し、盤面を支配していく。
林も《差し戻し/Remand》でカードとターンを得るが、1枚1枚のカードパワーではアブザンに叶うわけもなく、《血清の幻視/Serum Visions》でライブラリーを操作するも、劣勢を覆せずにそのままライフは0を割った。
カミヤマ 1-0 林
Game2
カミヤマは、ペイ5点からの再び《思考囲い/Thoughtseize(THS)》で《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(M14)》を落とす。
カミヤマが懸念していた土地からのダメージ。これがどう影響するのだろう。
林は《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》、2枚目の《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(M14)》とどんどんクリーチャーを展開し、物量差でカミヤマのライフを減らそうと試みる。
カミヤマはライフこそ負けてはいるが、《復活の声/Voice of Resurgence》、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》と展開し、地上を止めることに成功する。除去か《未練ある魂/Lingering Souls》で小うるさい飛行クリーチャーさえ対処できれば、といったところか。
しかしカミヤマの願いは、叶わない。
林は、《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(M14)》がいる状態で、《終止/Terminate》を《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》に対しキャストし、細いクッロクによるダメージレースを有利なものとする。
更に《血清の幻視/Serum Visions》と相まって、数の暴力と化す。
カミヤマも《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm》でトークンを一掃するも、最後まで《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を除去することが出来なかった。
カミヤマ 1-1 林
Game3
カミヤマは、三度《思考囲い/Thoughtseize(THS)》からゲームが始まり、唯一のクロックである《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を捨てさせ、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》へと繋ぐ必勝パターンへと繋ぐ。
既存の赤青デルバーであったなら、この状況を打破することは難しかっただろう。
しかし林は、黒を足したグリクシスカラーのデルバーである。そしてこのマッチで、黒を足すことの意味を、分かりやすく示してくれた。
カミヤマが追加のクロックとしてキャストした《復活の声/Voice of Resurgence》にスタックして、フェッチランドと《思考掃き/Thought Scour》を探査コストに《残忍な切断/Murderous Cut(KTK)》をタルモへ。
《復活の声/Voice of Resurgence》はサイドボードからの《マグマのしぶき/Magma Spray(DDJ)》で対処し、続く《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》は《差し戻し/Remand》と的確に対処していく。
このキャントリップで《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(M14)》を手に入れると、フェッチランドを置きながら4ターン目にして初めてクリーチャーを展開する。もちろん《血清の幻視/Serum Visions》で早速トークンを1体生成済みだ。
2度目の試みで《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》は着地するが、フェッチランドを起動しながら《残忍な切断/Murderous Cut(KTK)》、返すターンで《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》まで展開し、モダン環境における探査の強さを見せ付け、一気に先手後手をひっくり返す。
こうなってしまうとアブザン側のカミヤマは分が悪い。それぞれのマナ域におけるカードパワーは十分であるが、《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》、《急速な衰微/Rapid Decay》といったカードでは、本来6マナである《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》はどうにもならない。
自分も《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》を引くかタシグルを除去できるスペルを引く、この2点しか解決策はないため、ブロッカーにと《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》をキャストする。探査コストで、サイズの小さくなった《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を。
林は、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》へ《終止/Terminate》をキャストすることで、カミヤマの残りのターンを1とする。
カミヤマが最後に引いたカード。それが《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》でも、タシグルを対処できるカードでもなかったことで、林が決勝ラウンドへと駒を進めた。
カミヤマ 1-2 林
林 Win!
終に予選ラウンドも最終戦となった。勝者のみがトップ8へと滑り込めるこの2人の対戦をお送りしたい。
◆カミヤマ マサル
普段は群馬県桐生市に位置する“わんぱっく桐生店”でマジックに興じているというカミヤマ。彼は、唐突に、こう呟いた。
「本当なら、ジャンド、使いたかったんですよね」
ここで勝てば決勝ラウンドへと進める場面で、カミヤマの発した一言は、実に妙なものだった。
白と赤の違いはあれど、ジャンクデックの代表格アブザンジャンクを使用し、ここまで勝ち残ってきているのに、だ。
何が、彼を、ジャンドへと駆り立てるのか。
「モダンは、攻める側も受ける側も適切に、迅速にしなければいけないので。《稲妻/Lightning Bolt(M10)》と《流刑への道/Path to Exile》では、同じ1マナでもやはり使い勝手が全然違います。そしてその土台となるマナベースも。手札破壊スペルも考慮してアブザン側が白黒必要なところで、ジャンド側は赤黒、そう《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs》というノーダメージのアンタップインランドがあるんですよ。アグロなマッチアップでダメージを食らわない2色土地は非常に魅力的ですね。後は新しく入った《コラガンの命令/Kolaghan’s Command(DTK)》ですね。親和への勝率の向上、消耗戦にも強くなるので、カードさえあればジャンドが理想ですね」
そう言うと、静かにデックをシャッフルしだす。
◆林 隆智
埼玉、東京、神奈川、静岡、北海道(←New!)の一都道三県からなる広域コミュニティー『White House』で、週末に集まり腕を磨いている。
The Last Sun2014チャンピオンであり、初プロツアーへ向けて群馬まで遠征してきている。
Game1
カミヤマの《思考囲い/Thoughtseize(THS)》がマリガンの林の手札を襲う。唯一のクリーチャー《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(M14)》を落とされると、土地ばかりの手札となってしまう。
対照的にカミヤマは、《復活の声/Voice of Resurgence》、《未練ある魂/Lingering Souls》と展開し、盤面を支配していく。
林も《差し戻し/Remand》でカードとターンを得るが、1枚1枚のカードパワーではアブザンに叶うわけもなく、《血清の幻視/Serum Visions》でライブラリーを操作するも、劣勢を覆せずにそのままライフは0を割った。
カミヤマ 1-0 林
Game2
カミヤマは、ペイ5点からの再び《思考囲い/Thoughtseize(THS)》で《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(M14)》を落とす。
カミヤマが懸念していた土地からのダメージ。これがどう影響するのだろう。
林は《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》、2枚目の《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(M14)》とどんどんクリーチャーを展開し、物量差でカミヤマのライフを減らそうと試みる。
カミヤマはライフこそ負けてはいるが、《復活の声/Voice of Resurgence》、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》と展開し、地上を止めることに成功する。除去か《未練ある魂/Lingering Souls》で小うるさい飛行クリーチャーさえ対処できれば、といったところか。
しかしカミヤマの願いは、叶わない。
林は、《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(M14)》がいる状態で、《終止/Terminate》を《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》に対しキャストし、細いクッロクによるダメージレースを有利なものとする。
更に《血清の幻視/Serum Visions》と相まって、数の暴力と化す。
カミヤマも《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm》でトークンを一掃するも、最後まで《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を除去することが出来なかった。
カミヤマ 1-1 林
Game3
カミヤマは、三度《思考囲い/Thoughtseize(THS)》からゲームが始まり、唯一のクロックである《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を捨てさせ、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》へと繋ぐ必勝パターンへと繋ぐ。
既存の赤青デルバーであったなら、この状況を打破することは難しかっただろう。
しかし林は、黒を足したグリクシスカラーのデルバーである。そしてこのマッチで、黒を足すことの意味を、分かりやすく示してくれた。
カミヤマが追加のクロックとしてキャストした《復活の声/Voice of Resurgence》にスタックして、フェッチランドと《思考掃き/Thought Scour》を探査コストに《残忍な切断/Murderous Cut(KTK)》をタルモへ。
《復活の声/Voice of Resurgence》はサイドボードからの《マグマのしぶき/Magma Spray(DDJ)》で対処し、続く《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》は《差し戻し/Remand》と的確に対処していく。
このキャントリップで《若き紅蓮術士/Young Pyromancer(M14)》を手に入れると、フェッチランドを置きながら4ターン目にして初めてクリーチャーを展開する。もちろん《血清の幻視/Serum Visions》で早速トークンを1体生成済みだ。
2度目の試みで《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》は着地するが、フェッチランドを起動しながら《残忍な切断/Murderous Cut(KTK)》、返すターンで《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》まで展開し、モダン環境における探査の強さを見せ付け、一気に先手後手をひっくり返す。
こうなってしまうとアブザン側のカミヤマは分が悪い。それぞれのマナ域におけるカードパワーは十分であるが、《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》、《急速な衰微/Rapid Decay》といったカードでは、本来6マナである《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》はどうにもならない。
自分も《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》を引くかタシグルを除去できるスペルを引く、この2点しか解決策はないため、ブロッカーにと《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》をキャストする。探査コストで、サイズの小さくなった《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を。
林は、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》へ《終止/Terminate》をキャストすることで、カミヤマの残りのターンを1とする。
カミヤマが最後に引いたカード。それが《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》でも、タシグルを対処できるカードでもなかったことで、林が決勝ラウンドへと駒を進めた。
カミヤマ 1-2 林
林 Win!
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