今大会で最も成功を修めたのは、ボロスミッドレンジに違いない。ベスト8に2人、オポ落ちとなった9位も同アーキタイプであり、デックの細部に違いこそあれど、3マナの良質クリーチャーを軽量火力、ファッティに対する《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks(THS)》でバックアップしていく構成に、なんら変わりはない。

 ここでは奇しくも同じ赤白のミッドレンジ対決となった椎野と市川の対決をお送りしたい。


Game1
 スイスラウンド1位抜けの椎野の先手でマッチは始まり、先手の利も相まって、椎野は攻め続ける。

 《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster(M15)》キャストすると、市川の《オレスコスの王、ブリマーズ/Brimaz, King of Oreskos(BNG)》を《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks(THS)》し、《道の探求者/Seeker of the Way(KTK)》と行動回数を増やし、クリーチャー数で大きく上回る。
 市川が除去を引けず、椎野の《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster(M15)》が生き残ってしまったために、毎ターンゴブリントークンが生成され、一方的な場になってしまう。
 形振り構っていられないため、《灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix(KTK)》でターンを稼ぎながらなんとか延命措置を図る。

 その努力が実を結び、市川は《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster(M15)》へとたどり着く。
 この1枚を野放しに出来ず、椎野はプレインズウォーカーへと不利なアタックをせざるを得なくなり、僅かずつ傾いた天秤が水平へと戻りつつある。ライフ5が、遠い。

 息切れ気味な椎野を尻目に、市川は《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster(M15)》2枚で戦力を補充し、攻撃に転じる。5点というライフは多くはないが、火力等1枚では削りきられない。その前に、相手のライフを0にすれば良いだけだ。

 椎野は、ドローしたカードを伏せ、トークンだけでアタックし、2点を与え残り3。
 弟2メインフェイズに入ると運命再編からの新カード、《前哨地の包囲/Outpost Siege(FRF)》をキャストし、力強く「カン」を宣言する。

 そして宣言は「カン」でもデック内から『龍』である《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon(THS)》が捲れると、長い長い1本目に終止符を打った。

椎野 1-0 市川


Game2

 今度は市川が先手よろしく《道の探求者/Seeker of the Way(KTK)》をキャストするが、椎野の手から生まれ変わった《ショック/Shock(_BD)》こと《乱撃斬/Wild Slash(FRF)》がテンポ良くキャストされ、返す刀で《灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix(KTK)》、《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon(THS)》と攻守を再び入れ替える。

 この《灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix(KTK)》こそがキーポイントであった。
 市川の手札には《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon(THS)》はあれども《灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix(KTK)》が邪魔であるため、キャスト出来ない。奇襲性も考慮し、5マナをフルオープンで返さざるを得なかったのだ。

 椎野の《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon(THS)》こそ《かき立てる炎/Stoke the Flames(M15)》し、市川自身が《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon(THS)》で殴り返す。ダメージが先行している分、椎野が有利か。
 僅かな有利を確かなものにするため、椎野は《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster(M15)》、《道の探求者/Seeker of the Way(KTK)》と一気に展開する。

 だが、それでも。それでも市川は諦めない。

 《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks(THS)》で癌である《灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix(KTK)》を封じ込めると、《軍族童の突発/Hordeling Outburst(KTK)》で防御網を敷きながら《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon(THS)》を再び上空へと走らせる。
 まだ、間に合うと。

 椎野、ダメージは与えられずとも、《道の探求者/Seeker of the Way(KTK)》の能力で自身のライフを引き上げ、ターンを稼ぎ、稼いだターンで《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks(THS)》を占術ランドでライブラリートップへ積み込むことに成功する。

 市川の最後のターン。最低限のブロッカーを残し、攻撃し、相手の残りライフを7とした。

 ドローした《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks(THS)》を提示すると、市川のライフは0を割った。

椎野 2-0 市川

椎野Win!

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