長かったスイスラウンドも終わり、8名のプレイヤーが出揃った。

1 椎野 雅生/ボロスミッドレンジ
2 林 隆智/スゥルタイコントロール
3 堤 雅貴/シディシウィップ
4 西澤 康英/グルールミッドレンジ
5 市川 達也/ボロスミッドレンジ
6 真下 竜也/4cシディシ
7 清水 恭爾/シディシウィップ
8 岩上 裕治/雲変化ビート

 ここでは、スイスラウンド7位の清水と2位の林の対戦を取り上げるが、林はスイスラウンドでも取り上げたため、ここでは清水を紹介したい。

◆清水 恭爾
 群馬、ことBooksながしまでは存在感を示す清水であるが、それは単純に彼自身の人柄だとか性格だとか、マジックのプレイが巧みであるとか、デック自体が独創的で輝きがあり、常に周囲を飽きさせないということだけではない。
 Booksながしまというコミュニティー自体を作り上げ、引率し今日まで維持しているのが清水に他ならないからだ。
 時が経ち、人が入れ替わっても、変わらない。常連だろうと、初めてのプレイヤーだろうと訳隔てなく接し、共に遊び、共に笑い、そうして新たなコミュニティーの一員へと迎え入れる。
 清水自身が、清水のカリスマが、人を引き寄せ、魅了しているに違いない。

 だから昨日1月31日に清水が結婚式を挙げた際、多くのながしま関係者が祝いと寂しさから式場へと駆けつけた。

 結婚にあたり、

 「清水、マジック辞める」てよ

と、情報元は不明だが、実しやかに囁かれていたからだ。

 しかし、清水は来た。この予備予選へと。

 「まだ、やり残したことがある」

 仕事よりも、絆よりも、そして愛よりも尊いものがそこにはある。


Game1

 互いにスゥルタイカラーなるも、その構成は大きく異なる。
 クリーチャーを軸に、墓地を肥やしながらゲームを進めるシナジーの塊シディシウィップ。
 スペルを軸に墓地を利用し、高速でスペルを使い回す、現在の王者のコントロール・スゥルタイコントロール。

 互いに序盤は、占術や《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder(BNG)》といったカードでマナベースを拡張しながら、ゆっくりと墓地を肥やし続ける。
 シディシ側はクリーチャーによるビートダウンを敢行したいが、キーカードである《血の暴君、シディシ/Sidisi, Brood Tyrant(KTK)》が誘発型能力スタック中に除去されてしまうとトークンが生成されないため、中々キャスト出来ない。

 清水は7枚目の土地を置くと《女王スズメバチ/Hornet Queen(M15)》をキャスト。林はこれを《果敢な一撃/Defiant Strike(KTK)》し、返すターン《啓示の解読/Interpret the Signs(JOU)》が《時を越えた探索/Dig Through Time(KTK)》を捲り8ドローと一気に突き放す。

 清水も《奔流の精霊/Torrent Elemental(FRF)》という新たなエンジンをキャストするも、そこへ《ラクシャーサの秘密/Rakshasa’s Secret(KTK)》と《命運の核心/Crux of Fate(FRF)》が合わさると、清水の場は土地のみ。

 悪夢の織り手の名に恥じず、《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver(THS)》が清水を絶望へと誘う。

清水 0-1 林


Game2

 清水 恭爾は動かない。

 例え相手が《時を越えた探索/Dig Through Time(KTK)》をキャストしようが、《思考囲い/Thoughtseize(THS)》しようが、手札を隠し通すと、動かない。

 必ず流れがもう一度自分へと来るのを知っているかのように。

 じっくりと相手が痺れを切らし、動く、隙が最大限に出来るまでは。

 だから清水 恭爾は動かない。


 1戦目同様占術でマナベースを作り、今回も林が《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver(THS)》でペースを握る。
 《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver(THS)》は《奔流の精霊/Torrent Elemental(FRF)》を捲りクロックを作り上げる。

 清水は牽制気味に《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver(THS)》、《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》を除去させ、《エレボスの鞭/Whip of Erebos(THS)》を通す。
 起死回生の《エレボスの鞭/Whip of Erebos(THS)》と《血の暴君、シディシ/Sidisi, Brood Tyrant(KTK)》のコンボも凌がれると、流石に敗色が濃厚になってくる。

 しかしそれは、唐突にやってきた。

 そう、《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》だ。

 能力でスペルを回収するのは勿論、林がここまで稼いだリソースを失ってまで《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon(FRF)》のリムーヴ能力で場を一掃させたのだ。

 《血の暴君、シディシ/Sidisi, Brood Tyrant(KTK)》さえ引ければ、いける。

しかし、

 林 隆智はミスをしない。

 どんなに有利な状況でも、逆転の目潰すため。

 手なりにならず、油断せず、甘えない。

 だから林 隆智はミスをしない。


 だが、《時を越えた探索/Dig Through Time(KTK)》がある林はリカバリースピードが速く、清水に時間を与えず、《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon(FRF)》で止めをさした。


 マジック自体は、競技であるから勝敗がついてしまうが、互いに読み合い指し合いから導きだされるその解は、尊く、また美しい。
 互いが高め合うからこそ、読み合いが生まれ、そこにマジックの面白さ、そして辞めに辞めれぬ情熱が、沸いてくるのではないか。

清水 0-2 林

林 Win!

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