佐々木は元D-0プレイヤーであり、マジックでいうところのGPで3度トップ8に残っている強豪である。
マジックは始めてまだ半年。短いキャリアにも関わらず、初のリミテッドGPである新潟では2日目に進出している。
D-0の経験があるとはいえ、短期間にこれほど強くなるには一体どんな練習をしているのか。そのことを聞いてみると、
佐々木「いや、週末の大会だけっす。実践が一番の練習になるんで。」
この一言からも、彼の勝負師たる一面が垣間見える。とても真面目な硬い印象を受けたが、すぐ後に、
佐々木「自分まだまだ若いすから(17歳)、悪いこといっぱいしますよ(笑)。」
と茶目っ気たっぷりに宣言。
そんな佐々木の言葉を聞いて
菅谷「若さ、感じるね。」
と対戦相手の菅谷、小堺が思わず呟く。
だが菅谷にだって「魔界の貴公子」としてのプライドが、これまでの経験がある。彼だって神経をすり減らし、五感を研ぎ澄ませ、いくつもの試練を超えてきたのだ。
新鋭だとか、古豪だとか、そんなことは関係ない。どちらがより勝利を欲しているか、勝負師としての意地と意地のぶつかり合いをおとどけしたい。
Game1
菅谷の手札:《石造りのピューマ/Stonework Puma》、《高地の狂戦士/Highland Berserker》、《タクタクの唸り屋/Tuktuk Grunts》、《板金鎧の土百足/Plated Geopede》、《巨大蠍/Giant Scorpion》、《沸騰する小湖/Scalding Tarn》、《山/Mountain》。色マナに不安はあるも、2ターン目からクリーチャーが展開出来る非常に良い手札である。
《沸騰する小湖/Scalding Tarn》を経て菅谷は《板金鎧の土百足/Plated Geopede》、《高地の狂戦士/Highland Berserker》と連続してキャストし、強烈なプレッシャーをかける。
これに対し佐々木は1マリガン後、2ターンに渡り土地が1枚でストップし、《ベイロスの林壊し/Baloth Woodcrasher》をディスカードすることになってしまう。菅谷の手札を知っている手前、『このまま軽いクリーチャーに攻撃されGame1は終了か。』と思ってしまった。
・・・なんと菅谷もマナスクリュー。相手の事故に乗じて攻めたい所で、3点のクロックしかかけることが出来ない。やっと3枚目の《山/Mountain》を引き《石造りのピューマ/Stonework Puma》をキャストした頃には、佐々木の場には大量のクリーチャーが。残り10点が非常に遠い。
佐々木は《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》を皮切りに、同盟者を続々とキャストしサイズアップを図る。《ジョラーガの吟遊詩人/Joraga Bard》といった普段見かけないカードが、攻防を支える頼もしい存在に感じられるとは。シナジーさえキチンと汲めれば、点数だけでなく戦略をもってドラフトすることの重要性を再確認出来る一場面である。
慎重に1体の《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》(サイズは4/4)で攻撃を始める。
菅谷は一度はダメージを受け16となったところで待望の黒マナを引き、《巨大蠍/Giant Scorpion》をキャストする。《ニマーナの売剣/Nimana Sell-Sword》、《タクタクの唸り屋/Tuktuk Grunts》とこちらも同盟者を続け、膠着の一途をたどるばかり。
盤面は複雑を極め、これはもう何かボム(爆弾カード)引く以外ない。そう感じた直後、菅谷は2枚目の《沼/Swamp》をセットし、1枚のカードをキャストする。
それは《湿地での被災/Marsh Casualties》。
準々決勝と全く同じ、幸先の良い決まり手で菅谷が先勝した。
菅谷1-0佐々木
Game2
菅谷の手札:《板金鎧の土百足/Plated Geopede》、《ニマーナの売剣/Nimana Sell-Sword》、《巨大蠍/Giant Scorpion》、《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》、《精神ヘドロ/Mind Sludge》、《沸騰する小湖/Scalding Tarn》、《山/Mountain》
《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》の返しで《板金鎧の土百足/Plated Geopede》と、互いに早いスタートを切る。ダメージレースのタイトな、見ていてワクワクする試合を期待出来る。筆者だけでなく、ギャラリーもそう感じていたはずだった。
《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》、《ニマーナの売剣/Nimana Sell-Sword》で4ターン目にして5/5、3/3、3/3とし、5ターン目には《ジョラーガの吟遊詩人/Joraga Bard》で警戒を持たせながらもう1サイズアップし、攻撃する。
初手からわかるように、菅谷も悪い回りではないのだが、如何せん相手の動きが良すぎる。
チャンプブロックを挟みながら、《巨大蠍/Giant Scorpion》、《罰する火/Punishing Fire》で必死に延命措置を試みる。
だがそれは文字通り延命でしかなく、敗北からは逃れられないのであった。
菅谷&小堺「ドローが若い!!」
菅谷1-1佐々木
Game3
菅谷の手札:《タクタクの唸り屋/Tuktuk Grunts》、《忌まわしい最期/Hideous End》、《ぐらつく峰/Teetering Peaks》、2《山/Mountain》、《沼/Swamp》
事故れという佐々木の願いが通じたのか、菅谷はすぐさまマリガン。
「考えます。」と一言断りを入れてから、《墓所王の探索/Quest for the Gravelord》、《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》、《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》、《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk》、《変わり樹の木立ち/Turntimber Grove》、《森/Forest》、《沼/Swamp》をキープする決断を下す。
ファーストドローの《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》、《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》と展開し、相変わらず若さを感じさせる佐々木。菅谷の《巨大蠍/Giant Scorpion》も《変わり樹の木立ち/Turntimber Grove》でダメージを通しにかかる。菅谷もこの要求を受け入れ、ライフは菅谷15-18。
フルタップで《髑髏砕きの巨人/Shatterskull Giant》をキャストした菅谷に対し、今度は3体全てのクリーチャーで攻撃する。
菅谷「《見栄え損ない/Disfigure》か、《巨森の蔦/Vines of Vastwood》か。1枚はしょうがなかったですね。」
後にそう語ってくれた菅谷だが、ここで佐々木の手札はその両方であったのである。
《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》をブロックしている《巨大蠍/Giant Scorpion》と、《髑髏砕きの巨人/Shatterskull Giant》にブロックされている《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》へそれぞれの呪文がキャストされる。
この戦闘で菅谷は全てのクリーチャーを失い、ライフは13になる。
《タクタクの唸り屋/Tuktuk Grunts》を成長させることで、守勢を維持しようとするが、今度は《墓所王の探索/Quest for the Gravelord》が強烈なプレッシャーを放つ。例え一方的に討ち取られたとしても、カウンターを溜められるため、波状攻撃を繰り返す。
ライフが押されている菅谷はブロックにいかざるを得ず、あっという間にカウンターの数は3個。
トークンを2体のクリーチャーで相打ちに取り、スルーしたクリーチャーには除去を打ち、なんとかライフ1点で留まる菅谷。もう1枚《沼/Swamp》を引けば、手札の《忌まわしい最期/Hideous End》がキャスト出来きだいぶ楽になるのだが、一向に引かない。
僅か1点であるため、佐々木のクリーチャー数が、菅谷のクリーチャー数を上回った瞬間敗北が決定してしまう。それが《さまようもの/Wandering Ones》であったとしてもだ。
シビアなトップデック合戦、先にクリーチャーを引いたのは佐々木。幸いそれが緑のクリーチャーであったため、《沼/Swamp》を引けば《忌まわしい最期/Hideous End》で除去することが出来る。
菅谷が祈りを込めて引いたカード。それは本当に《忌まわしい最期/Hideous End》であった。
菅谷1-2佐々木
マジックは始めてまだ半年。短いキャリアにも関わらず、初のリミテッドGPである新潟では2日目に進出している。
D-0の経験があるとはいえ、短期間にこれほど強くなるには一体どんな練習をしているのか。そのことを聞いてみると、
佐々木「いや、週末の大会だけっす。実践が一番の練習になるんで。」
この一言からも、彼の勝負師たる一面が垣間見える。とても真面目な硬い印象を受けたが、すぐ後に、
佐々木「自分まだまだ若いすから(17歳)、悪いこといっぱいしますよ(笑)。」
と茶目っ気たっぷりに宣言。
そんな佐々木の言葉を聞いて
菅谷「若さ、感じるね。」
と対戦相手の菅谷、小堺が思わず呟く。
だが菅谷にだって「魔界の貴公子」としてのプライドが、これまでの経験がある。彼だって神経をすり減らし、五感を研ぎ澄ませ、いくつもの試練を超えてきたのだ。
新鋭だとか、古豪だとか、そんなことは関係ない。どちらがより勝利を欲しているか、勝負師としての意地と意地のぶつかり合いをおとどけしたい。
Game1
菅谷の手札:《石造りのピューマ/Stonework Puma》、《高地の狂戦士/Highland Berserker》、《タクタクの唸り屋/Tuktuk Grunts》、《板金鎧の土百足/Plated Geopede》、《巨大蠍/Giant Scorpion》、《沸騰する小湖/Scalding Tarn》、《山/Mountain》。色マナに不安はあるも、2ターン目からクリーチャーが展開出来る非常に良い手札である。
《沸騰する小湖/Scalding Tarn》を経て菅谷は《板金鎧の土百足/Plated Geopede》、《高地の狂戦士/Highland Berserker》と連続してキャストし、強烈なプレッシャーをかける。
これに対し佐々木は1マリガン後、2ターンに渡り土地が1枚でストップし、《ベイロスの林壊し/Baloth Woodcrasher》をディスカードすることになってしまう。菅谷の手札を知っている手前、『このまま軽いクリーチャーに攻撃されGame1は終了か。』と思ってしまった。
・・・なんと菅谷もマナスクリュー。相手の事故に乗じて攻めたい所で、3点のクロックしかかけることが出来ない。やっと3枚目の《山/Mountain》を引き《石造りのピューマ/Stonework Puma》をキャストした頃には、佐々木の場には大量のクリーチャーが。残り10点が非常に遠い。
佐々木は《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》を皮切りに、同盟者を続々とキャストしサイズアップを図る。《ジョラーガの吟遊詩人/Joraga Bard》といった普段見かけないカードが、攻防を支える頼もしい存在に感じられるとは。シナジーさえキチンと汲めれば、点数だけでなく戦略をもってドラフトすることの重要性を再確認出来る一場面である。
慎重に1体の《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》(サイズは4/4)で攻撃を始める。
菅谷は一度はダメージを受け16となったところで待望の黒マナを引き、《巨大蠍/Giant Scorpion》をキャストする。《ニマーナの売剣/Nimana Sell-Sword》、《タクタクの唸り屋/Tuktuk Grunts》とこちらも同盟者を続け、膠着の一途をたどるばかり。
盤面は複雑を極め、これはもう何かボム(爆弾カード)引く以外ない。そう感じた直後、菅谷は2枚目の《沼/Swamp》をセットし、1枚のカードをキャストする。
それは《湿地での被災/Marsh Casualties》。
準々決勝と全く同じ、幸先の良い決まり手で菅谷が先勝した。
菅谷1-0佐々木
Game2
菅谷の手札:《板金鎧の土百足/Plated Geopede》、《ニマーナの売剣/Nimana Sell-Sword》、《巨大蠍/Giant Scorpion》、《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》、《精神ヘドロ/Mind Sludge》、《沸騰する小湖/Scalding Tarn》、《山/Mountain》
《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》の返しで《板金鎧の土百足/Plated Geopede》と、互いに早いスタートを切る。ダメージレースのタイトな、見ていてワクワクする試合を期待出来る。筆者だけでなく、ギャラリーもそう感じていたはずだった。
《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》、《ニマーナの売剣/Nimana Sell-Sword》で4ターン目にして5/5、3/3、3/3とし、5ターン目には《ジョラーガの吟遊詩人/Joraga Bard》で警戒を持たせながらもう1サイズアップし、攻撃する。
初手からわかるように、菅谷も悪い回りではないのだが、如何せん相手の動きが良すぎる。
チャンプブロックを挟みながら、《巨大蠍/Giant Scorpion》、《罰する火/Punishing Fire》で必死に延命措置を試みる。
だがそれは文字通り延命でしかなく、敗北からは逃れられないのであった。
菅谷&小堺「ドローが若い!!」
菅谷1-1佐々木
Game3
菅谷の手札:《タクタクの唸り屋/Tuktuk Grunts》、《忌まわしい最期/Hideous End》、《ぐらつく峰/Teetering Peaks》、2《山/Mountain》、《沼/Swamp》
事故れという佐々木の願いが通じたのか、菅谷はすぐさまマリガン。
「考えます。」と一言断りを入れてから、《墓所王の探索/Quest for the Gravelord》、《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》、《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》、《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk》、《変わり樹の木立ち/Turntimber Grove》、《森/Forest》、《沼/Swamp》をキープする決断を下す。
ファーストドローの《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》、《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》と展開し、相変わらず若さを感じさせる佐々木。菅谷の《巨大蠍/Giant Scorpion》も《変わり樹の木立ち/Turntimber Grove》でダメージを通しにかかる。菅谷もこの要求を受け入れ、ライフは菅谷15-18。
フルタップで《髑髏砕きの巨人/Shatterskull Giant》をキャストした菅谷に対し、今度は3体全てのクリーチャーで攻撃する。
菅谷「《見栄え損ない/Disfigure》か、《巨森の蔦/Vines of Vastwood》か。1枚はしょうがなかったですね。」
後にそう語ってくれた菅谷だが、ここで佐々木の手札はその両方であったのである。
《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist》をブロックしている《巨大蠍/Giant Scorpion》と、《髑髏砕きの巨人/Shatterskull Giant》にブロックされている《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder》へそれぞれの呪文がキャストされる。
この戦闘で菅谷は全てのクリーチャーを失い、ライフは13になる。
《タクタクの唸り屋/Tuktuk Grunts》を成長させることで、守勢を維持しようとするが、今度は《墓所王の探索/Quest for the Gravelord》が強烈なプレッシャーを放つ。例え一方的に討ち取られたとしても、カウンターを溜められるため、波状攻撃を繰り返す。
ライフが押されている菅谷はブロックにいかざるを得ず、あっという間にカウンターの数は3個。
トークンを2体のクリーチャーで相打ちに取り、スルーしたクリーチャーには除去を打ち、なんとかライフ1点で留まる菅谷。もう1枚《沼/Swamp》を引けば、手札の《忌まわしい最期/Hideous End》がキャスト出来きだいぶ楽になるのだが、一向に引かない。
僅か1点であるため、佐々木のクリーチャー数が、菅谷のクリーチャー数を上回った瞬間敗北が決定してしまう。それが《さまようもの/Wandering Ones》であったとしてもだ。
シビアなトップデック合戦、先にクリーチャーを引いたのは佐々木。幸いそれが緑のクリーチャーであったため、《沼/Swamp》を引けば《忌まわしい最期/Hideous End》で除去することが出来る。
菅谷が祈りを込めて引いたカード。それは本当に《忌まわしい最期/Hideous End》であった。
菅谷1-2佐々木
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